ゲーマーとしての信頼度

 今回の文章で不快に思う方がいるかもしれません。申し訳有りません。
 でも、そう思われた方はおそらく大丈夫です。僕が嫌いな人は、こういった文章で「気付けない」類の人なので。
 
 というかなんというか。
 最近、常連のチャットでちょっと議論をしてしまったり、よくROMっているブログで論争が起っていたり*1とあって、ちょっと考えてしまった事があります。
 
 「何故、僕*2は、相手の事を不快に思うのだろうか?」と。
 
 僕は普段TRPGを遊んでいます。忙しくてままならない時もありますが、それでも最低月1回くらいはセッションのできる環境です。
 TRPGを遊ぶには面子が必要です、幸いにして僕にも常に遊んでくれる、いわゆる「身内」*3と呼んでも良い位の関係の人たちがいます。
 「身内」内ではかなりフランクに会話をします。以前のセッションの話、セッションと全然関係ないアニメ特撮ネタの話、そしていわゆる「愚痴」です。
 愚痴を話す場合、当然ながら身内外の人物に対する物になりがちです*4。仲間の悪口を言うのが躊躇われる、というよりは、そもそもお互いが気に入っているからこそ一緒に遊んでいるのであって、大量に愚痴が出てくるような人物はまず「身内」に入れないから、という理由です。
 「この前コンベンションで当たったGMが地雷で…」
 「前にこんな痛いPLがいて…」
 話の内容は大抵ゲーム中での問題行動です。GMであれば「シナリオがえげつない」「バランスが悪い」、PLであれば「GMの言うことを聞かない」「PC順の立ち位置をわきまえない」「イメージ重視で最低限の能力も持ってない」等々、具体例をあげればキリがありません。
 ですが、最近そんな話を喋っていて*5思うのです。自分達だって似たような失敗は何度もしているなぁ、と。
 でも身内の人間がその手の問題行動で嫌われる事はまずありません。
 「普段は良いPLだから」
 「でも彼の場合は“面白い”から」
 同じような事をしているのに何故許されるのでしょうか?
 
 僕や身内の何人かのプレイヤーは田中天さん*6を尊敬しています。
 故にセッション中「はっちゃけた」プレイをしてしまう事が多々あります。第三者から見れば頭のネジが1,2本飛んだような事を言うことがあります。
 悪いPLです。
 でも身内でやる場合はだいたいの場合笑ってもらえます。「zweiくんのやる事だからGMの邪魔をする事はないだろうから」「ネタだから」と。
 以前、よそのグループに混じってセッションをする機会がありました。そこは知り合いの人が良く遊んでいるグループで、僕自身、仲良くなりたいなぁと思っていた所でした。
 全力を出しました。もてる限りの想像力を使って、僕の事を「面白い」と思って貰おうと。
 結果は散々でした。ロールプレイは全て空回りし、PCのモチベーションもがりがりと削れていきます。最終的には「シナリオを進行させるには僕は喋らない方が良い」と感じるところにまで行きました。
 自分ではかなり面白いキャラを作ったつもりでした。最初は他のPCに敵対するような感じで始まって、中盤で仲間になるようなロールプレイを考えていました。
 おそらく身内でやったならば、皆僕の意図を理解してくれたでしょうし、それこそPC間演出戦闘のひとつくらいアドリブで用意して貰えたかもしれません。
 でもその時は、まず最初の立ち位置を拒否され、和解する為に立てようとした伏線を潰され、気が付いたら「特に理由も無い*7のに何故か付いてくる人」になっていました。
 今考えれば当たり前の事です。
 初めて卓を囲む人間が敵対する立ち位置で始めようとすれば普通は「こいつPKでもやりたいのか?」と警戒します。
 まともなGMであれば多少強引にでもパーティに合流させますし、他のPCはそいつが酷い事をしないように言動を抑えようとするでしょう。
 僕が相手の立場であったとしたら上記のように行動します、そして後で身内に言うでしょう、
 「今日は酷いプレイヤーがいたけど、皆で頑張って押さえ込んだよ」
 と。
 今まで自分が何人のPCの物語を潰してきたのか、恐ろしくなりました。
 
 ここで問題なのは「身内であればおそらく上手く進んだであろう」という事です。
 僕らは超能力者ではありません。初見の人がどんなプレイをするのか、予測するのは非常に難しいです。
 だから不安に思える事はなるべく早めに潰していきます。本当はそのPCにとって大事な伏線になるはずのフラグでさえ。
 知らない人相手でさえそうなのだから、事前に知り合いから「痛い人」だという情報が回っている人の時など疑心暗鬼の塊です。
 最初から話の中核から遠い枠を薦め、ちょっとでも他PCの台詞に被りそうになったらシーンを切り、悪いプレイマナーに関しても本人には何も言わずに影で愚痴をこぼします。
 そうして「痛い人」のレッテルを貼られれば、もうその人のロールプレイはまずその基準で見られる様になってしまいます。
 第三者の視点から見れば、やっている事は似たようなものかも知れないのに。
 
 長くなりすぎて良く分からなくなってきました。
 本当はもう1,2節くらい使わないと論理として成り立たないのかもしれませんが、この辺で僕の結論を。
 「面白いセッションをするには、まず人として相手に面白い印象を持たれなければならない」
 言葉にすると当たり前の事なんですが、これがなかなか難しいのです。
 多分、一番の問題は「自分は論理的に正しい事を言っているのだから、悪いのは相手の方だ」という幻想です。自分も良く陥るので。
 TRPGというのは遊びです。当然「楽しい」気持ちになる為に行ないます。
 そして「楽しい」というのは感情であり論理ではないのです。
 相手を言い負かすのであれば、自説の正当性を主張すればそれで良いでしょう。
 でもTRPGをコミュニケーションのゲームとして遊ぶのならば、論理だけでは割り切れない部分を推し測る事、相手の言い分の根底にある考え方を理解する事が必要なのかもしれません。
 
 
 あー、偉そうな事書いてますね自分。
 ツッコミはいる前に言っておきますと、別に僕はこんな事を実行できている聖人君子ではないです。普段は相手の価値観を測る前に面倒になって切り捨てています。
 じゃあこの文章は何かと言えば…自戒だと思ってください。
 少なくともこの文章で誰か他人を攻撃したり説教したり、といった意図は全くありませんので。


(以下は次の日に追記として書いた文章ですが、結構トラックバックされてる&直に来られると読んで貰えないのでこっちに移しました。トラバ元によっては異なった文意になってしまうかもしれませんがご了承ください)

 ところで、今更なんですが、今読み直したら結論がちょっと舌足らずでした。
 正しくは
 「まず人として相手に面白い印象を持たれなければならない」
の後に
 「だから、日頃から色んな人と仲良くなって、いざという時に理解しあえるようにお互いの信頼度をあげとこう」
と繋げたかったのですが、文章長くて忘れてました。(笑)
 昨日のままじゃタイトルがちょっと意味不明気味だったので蛇足ながら補足。

*1:これは僕とは関係ない事なのですが

*2:或いは彼ら

*3:実際にはその人達もそれぞれ別のサークルやもっと近しい「身内」を持っていたりして、完全な閉鎖環境と言うわけではないですが、少なくとも「僕にとっての身内」

*4:たまに身内内の人物に対する場合も有りますが、その場合、相手が居るときに面と向かって言うので陰口ではないです

*5:聞いていて

*6:ライターさんです。FEAR系のリプレイで有名な方 http://d.hatena.ne.jp/tentana/ トラックバックで入っちゃうので怖いのですが

*7:それどころか敵対する理由の方がある